【Chapter9】安心との一生の付き合い

情報をもとに的確な判断を下すのは、専門家の役目です。家づくりでは工務店など建築の専門家に加えて地盤の専門家も大切になります。その力を借り、地盤も定期検診を受けることが必要です。

専門家の知識をうまく引き出す姿勢が大切です

家づくりを成功に導くコツは、専門家とチームを組んで、その知識をうまく引き出すことです。経験に裏付けられた知識には、何ものにも代えがたい価値があります。多岐にわたる条件を取りまとめ、的確な判断を下すには、その知識が不可欠です。

家づくりではまず、設計者や工務店、その協力工事会社など建築の専門家が欠かせません。どのような建物なら安心できるかには、建築の専門家が常日ごろから取り組んでいます。このときに、本冊子の冒頭で説明したように、建物を支える地盤と基礎に、もっと目を向ける必要があるという認識が強まりつつあります。

といっても、建築の設計や工事を手掛ける専門家は必ずしも地盤の専門家ではありません。確かに基礎の設計・施工には建築士が責任を負いますが、その前提である地盤の健康状態の把握には、地盤の専門家の力を必要とします。

設計者や工務店は、言わば掛かり付けの主治医のようなものだとイメージしてもらうのがよいかもしれません。それに対し、地盤の専門家は、より高度な技量を持つ専門病院の医師の一人です。適切な診察や的確な診断のためには、相談者とそれぞれの専門家の間はもちろん、専門家同士のコミュニケーションもうまく図ることが不可欠になります。安心できる家づくりのために手を携えて臨みたいものです。

診療過程では自ら主体性を持って判断しましょう

専門医に例えることのできる地盤の専門家との付き合い方で大事なのは、診療の過程で建築主自らが主体性を持つことです。地盤トラブルは自らの身に降り掛かります。専門家任せの姿勢ではいけません。

この点も医療と共通しています。自らの健康状態を医師任せにすることなく、説明に耳を傾け、健康状態の不安の程度や生じるコストを理解し、治療が必要であれば、合意のうえで、その方法を自ら選択することが求められます。いわゆる「インフォームドコンセント」です。医師の見立てに疑問を感じるならば、必要に応じて別の医師からのセカンドオピニオンを求めるという点でも考え方は同じです。

人間の体は絶え間なく変化しています。知らず知らずのうちに、健康状態が脅かされているかもしれません。そこで、危険信号を見落とさないように、定期検診を受けます。健康状態の危険を早めに察知し、問題の芽を摘み取るわけです。

地盤の健康状態も同じです。新築前に一度診察を受けたからと言って、将来の健康まで保証されるわけではありません。地盤の健康状態は、周りからの影響を受け、時間とともに変化する場合があります。人の体と同じように、生涯にわたって定期検診を受けることが望ましいと言えます。最新技術に基づく検診を受ければ、安心のいっそうの確保につながるはずです。

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